住み替え特例どれが得?住宅ローン控除・3000万控除・買換え特例の選択をCFPが解説

 住宅の購入や売却の検討では活用できる特例を知らないと損をします。よく聞く「税金の優遇措置」、しかし、制度が複雑で、よくわからない点が多いので、「自分にとってどれが一番得なのか」と悩んでしまうことがありますよね。

「住み替え」のときの悩みの原因
  • 「家を買換えるけど、住宅ローン控除はそのまま使えるの?」
  • 「今の家を売った利益にかかる税金を安くして、手取り額を多くしたい。」
  • 「節税額が大きいのはどっちの特例?また、メリットがある特例を併用できるって本当?」

 せっかくの「住み替え計画」、特例の知識がないだけで数百万円単位の損をしてしまう可能性があります。

 私はCFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)として、建築・不動産コンサルティングに20年以上携わってきました。 「不動産業者は売買の専門家」で「金融機関はお金を貸す専門家」です。しかし、本当は、両方の知識がなければ、「住み替え」のサポートはできません。

 この記事では、「住宅ローン控除」と「3000万円特別控除」の併用ルールと、それぞれのメリット・デメリット買換え特例について、わかりやすく解説します。

 この記事を読めば、損をせずに最適な選択をして、自信を持って資金計画を立てられるようになります。

目次

住宅ローン控除と3000万円控除は、新築・中古問わず「選択制」で併用不可

 マイホームを買い替える際、売却して得た利益(譲渡所得)を控除できる「3000万円特別控除」と、毎年のローン残高に応じて税金が還付される(戻る)「住宅ローン控除」は、原則として同じタイミングで利用することはできません。

 ここで重要なのは、「新しく買う家が新築か中古か」は関係ないということです。どちらのケースであっても、売却時に3000万円特別控除を選べば、新居での住宅ローン控除は使えなくなります。

 その理由はどうしてでしょうか?また、どんな制限があり、その制限を回避する方法はあるのでしょうか?

 住宅ローン控除と3000万円控除併用不可には重複適用の制限があるため

 なぜ併用できないのか。それは、国の税制において「売却時の利益に対する優遇」と「購入時のローンに対する優遇」を二重に受けることを制限しているからです。

 具体的には、以下のルールがあります。

  • 新居に入居した年、およびその前後2年ずつ(計5年間)の間に3000万円特別控除などの「譲渡所得の特例」を受けている場合、住宅ローン控除は適用できません。

 つまり、「古い家を売って得した分の税金をゼロにしつつ、新しい家(新築・中古問わず)のローン控除も受ける」という「いいとこ取り」はできない仕組みになっています。

 ただし、前述のとおり、特例活用から一定の期間を経過すれば、活用できることになります。どちらが、お得かは比較シミュレーションをしてみましょう。

 住宅ローン控除と3000万円控除どっちがお得?比較シミュレーション

 どちらを選ぶべきかは、売却益(利益)の大きさと、新しく組むローンの借入額によって変わります。

項目3000万円特別控除を選択住宅ローン控除を選択
主なメリット売却益にかかる税金(約20%〜)が消える。即効性がある。最大13年間、毎年税金が戻る。長期的な節税。
主なデメリット住宅ローン控除が一定の期間は、使えなくなる。売却益が出た場合、その利益にまるごと課税される。

<住宅ローン控除と3000万円控除|具体的なケーススタディ>

 例えば、古い家が購入時より高く売れ、1,000万円の利益(譲渡益)が出たとします。一方で、新居のために3,000万円のローンを組む場合の比較です。

比較項目3000万円特別控除を利用住宅ローン控除を利用
売却時の税金0円(特例で全額免除)約203万円(譲渡所得税が発生)
購入後の減税額(ローン控除分)0円(併用不可のため)最大約273万円(13年間合計)
トータルの得1,000万円に対する税金分
=約203万円
減税額 - 売却時の税金
=70万円
  • ケースA:売却益が非常に大きい場合
    売却による利益が2,000万円など高額になる:先に「3000万円特別控除」で確実に重い税金を消すのが定石です。
  • ケースB:売却益が少なく、ローンを長く多く組む場合
    売却による利益が数百万円程度であれば、3000万円特別控除は使わず、あえて売却時の税金を払ってでも「住宅ローン控除」を13年間受け続けた方がトータルのキャッシュフローがプラスになることが多いです。

※その他にケアすべきことは、家賃や、固定資産税・都市計画税といった一般的にいう「保有コスト」です。「3000万円控除」を活用し、2年の期間を経て「住宅ローン控除」を活用する場合、2年間の保有コストを支出として見込む必要があるいうことです。細かいようですが、実務では、保有コストは見落としがちな項目なので注意しましょう。

まとめ:住宅ローン控除と3000万円控除事前シミュレーションが成功のカギ

 住宅ローン控除と3000万円特別控除は、どちらも強力な節税手段ですが、新築・中古を問わず、一定期間中は、「片方を選べば片方が使えなくなる」というトレードオフの関係にあります。

  • 売却益が大きく、即座に税負担を消したいなら「3000万円特別控除」
  • 売却益が控えめで、長期的に還付を受けたいなら「住宅ローン控除」

 このように覚えておきましょう。

 ただし、年収や借入期間、住居の性能(省エネ基準など)によって計算は複雑になります。まずは不動産会社や税理士、FPなどの専門家に相談し、具体的な試算をしてもらうことを強くおすすめします。

活用しなければ損!住み替え時の|3000万円控除・税率軽減・買換の特例

 年齢的に30歳代、40歳代で住み替えを考えている方は非常に多く、その理由は以下のとおりです。

・結婚して家族が増えてた、また、子供が大きくなって手ぜまになってきた
・今の住まいが老朽化してきて修繕が大変になってきた

・年齢的に「住み替え」を検討できる最後のチャンス

など、住み始めた時とは生活環境が変わってきたためという方が多いようです。日本は住まいを得る方への支援が多いのですが、そのことを知らないため、後悔しているという声を多々聞きます。

 そこで、知らないと損をする、「住み替え」を検討している方に、必ず知っておいてほしい国からの支援についてまとめました。この記事を読めば、「住み替え」で後悔しない最低限必要な知識を身につけることができます。

住み替えに活用できる3つの制度|税率・特例と住宅ローン控除を徹底解説

  さて、それでは最初に、「家を売って住み替える」際に知っておきたい特例や制度は以下のおとりです。

 ①今の家の所有期間によって、売ったときに課税される税率が異なります。(5年以下、5年超、10年以上)
 ②今の家を売って、他に家を買って住み替える場合の特例と家を売ったときに使える3000万円特別控除
 ③住宅ローン控除(税金の還付)

① 所有期間によって異なる譲渡所得の税率

 家を売却した際に得られる利益(譲渡所得)にかかる税金は、売った家を所有していた期間によって税率がことなるため大きく異なります。

所有期間税率(所得税+復興特別所得税+住民税)
短期譲渡所得 (所有期間5年以下39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
長期譲渡所得 (所有期間5年超20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

 

所有期間について

<重要>
所有期間の算定:土地建物を譲渡した場合の、短期譲渡所得と長期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日現在において、所有期間が5年以下か、5年を超えるかにより判断します。

ポイント:短期譲渡所得の税率は長期譲渡所得の約2倍にもなります。所有期間5年超で売却できると、税負担を大きく軽減できます。したがって、「住み替え」を検討する際には、今の家の所有期間を確認しましょう。

② 3つの特例(3,000万円の控除、軽減税率の特例、買換えの特例)一覧表

 短期譲渡・長期譲渡とは別に、居住用財産(自分の家)を売却した場合には、以下の3つの特例を活用できる可能性があります。これらの特例は併用できない場合があるため、ご自宅の売買の時期、所有期間に合わせて最適なものを選ぶことが重要です。概要は下表にまとめました。詳細は国税庁のHPをご参照ください。

特例名概要適用条件(主なもの)併用可否(他の特例との関係)
3,000万円特別控除譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる・居住用財産である・売却時期など軽減税率の特例とは併用可買換えの特例とは併用不可
10年超所有軽減税率の特例所有期間10年超の居住用財産の譲渡所得に軽減税率を適用・居住用財産である・所有期間10年超3,000万円特別控除とは併用可買換えの特例とは併用不可
居住用財産の買換えの特例新しい家を購入すれば売却益への課税を繰り延べ・特定の条件を満たす買換えである・居住用財産である3,000万円特別控除、軽減税率の特例とは 併用不可

③ 2025年度と2026年度の住宅ローン控除の要件比較

 家を売却した後に新しい家を購入し、住宅ローンを組む場合は「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」も活用できます。ただし、その要件は年々変化しており、特に2026年以降は重要な変更があります。

項目2025年入居まで(※原則)2026年入居以降(※原則)
控除期間13年間13年間
控除率0.7%0.7%
借入限度額(長期優良住宅等)4,500万円4,500万円
借入限度額(省エネ基準適合住宅)4,000万円3,500万円
借入限度額(その他の住宅)3,000万円0円(適用対象外)
中古住宅控除期間10年、借入限度額2,000~3,000万円(省エネ基準等により異なる)控除期間10年、借入限度額2,000~3,000万円(省エネ基準等により異なる)

 ポイント:2026年以降は「その他の住宅(省エネ基準に適合しない新築住宅)」は住宅ローン控除の対象外

 住み替え先で住宅ローン控除を利用する場合、売却した家の「3,000万円特別控除」「10年超所有軽減税率の特例」とは併用できません。どちらが有利か慎重に検討しましょう。

2つの特例をチェック!「3,000万円特別控除」と「買換え特例」

 ここからは、特に住み替えで利用することが多い「3,000万円特別控除」と「買換えの特例」について詳しく見ていきます。「買換えの特例」は要件が複雑なので、前章②に添付した国税庁の資料をご確認ください。

① 3,000万円の特別控除の特例

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」は、自宅を売却して利益が出た場合に、その譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。売却益が3,000万円以下であれば、税金がかからないことになります。

  【主な適用条件】

  • 自分が住んでいた家屋とその敷地であること。
  • 家屋を売却した年、またはその前年・前々年に、この特例やマイホームの買換え特例などを受けていないこと。
  • 売却相手が、親子や夫婦など特別な関係ではないこと。

    【メリット】
  • 売却益が3,000万円以下なら、税金が一切かからない。
  • 売却益が3,000万円を超えても、超えた部分にのみ課税されるため、税負担を大幅に軽減できる。

    【注意点】この特例を適用すると、一定期間、住宅ローン控除が受けられません。
    具体的な併用不可期間(例:2025年入居)
  • 前2年: 2023年、2024年に3000万円控除を受けている場合、2025年の住宅ローン控除は利用不可。
  • 後3年: 2025年に住宅ローン控除を開始し、2026〜2028年に旧居の3000万円控除を受けた場合、過去に受けた住宅ローン控除も遡って適用除外になるリスクあり。

 この点は、税理士等の専門家に必ず確認するようにしてください。

② マイホームを買い換えたときの特例(居住用財産の買換えの特例)

 「特定の居住用財産の買換えの特例」は、自宅を売却して新しい家を購入する際に、売却益への課税を繰り延べられる制度です。これは、売却益に対する税金を「一旦払わなくて良い」というもので、税金がゼロになるわけではありませんが、手元の資金を残したまま住み替えができるという大きなメリットがあります。

 【主な適用条件】

  • 売却する家屋の所有期間が10年を超えており、居住期間も10年を超えていること。
  • 売却価格が1億円以下であること。
  • 買換え資産(新しく購入する家)の床面積が50平方メートル以上であること。
  • 売却した年とその前年、または翌年中に新しい家を取得し、取得した年の翌年12月31日までに居住すること。

 【メリット】

  • 売却益に対する課税を、新しい家を売却する時まで繰り延べられる。すぐに税金を払う必要がないため、手元に資金を残せる。

 【注意点】

  • この特例を適用すると、3,000万円特別控除や軽減税率の特例、そして住み替え先で住宅ローン控除を新たに利用することはできません詳細は下記の国税庁記事を参照してください。
  • 将来、新しい家を売却する際に、繰り延べられた税金もまとめて課税されることになります。

あなたの住み替えに最適な特例を選ぼう

 家を売って住み替える際には、「売却益への課税をゼロにする3,000万円特別控除」と「売却益への課税を繰り延べる買換えの特例」のどちらを選ぶかが非常に重要です。

  • 売却益が3,000万円以下、または住み替え先で住宅ローンを組めない場合は、「3,000万円特別控除」が有利なことが多いでしょう。
  • 売却益が3,000万円を超える、かつ新しい家で住宅ローンを組む予定がない、または手元資金を確保したい場合は、「買換えの特例」も検討の価値があります。ただし、将来的に税金がかかる点は忘れないでください。
  • 新しい家で住宅ローン控除を確実に利用したい場合は、売却時の特例適用は慎重に検討する必要があります。

 これらの特例は、個々の状況(売却益の金額、所有期間、新しい家の購入予定など)によって最適な選択が異なります。ご自身のケースでどの特例が最も有利になるのか、また具体的な手続きについては、必ず税務署や不動産会社の担当者、または税理士などの専門家にご相談ください。賢く特例を活用して、あなたの住み替えを成功させましょう!

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以上


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