不動産活用

【不動産投資】手筋⑩ 管理法人を活用した土地活用

 不動産事業で「法人」を活用する目的は節税効果が期待できるからです。個人の所得に対する課税税率と法人の所得に対する課税税率を比較し、その差を活かして節税を図ることができます。従って、資産家は不動産事業の検討に際し法人設立するケースが多いのです。
 特に所得税の節税や相続税の納税対策に効力を発揮することがありますので、以下に概念をまとめてみました。

2種類の「法人」活用方法について

 設立する「法人」の活用方式には主に以下の2種類があります。
1.管理会社方式
2.建物所有方式

 それぞれの概念と特徴をまとめました。

1.管理会社方式の場合

 管理会社方式の場合は、図1のようにオーナーはエンドユーザーと直接賃貸借契約を締結し、設立した管理会社と管理委託契約を締結し管理手数料を支払います。管理会社はエンドユーザーからの集金代行業務、日常清掃等の管理業務を受託します。

図1.管理会社方式の図式

2.建物所有会社方式の場合

 建物所有会社方式の場合は、図2のように建物そのものを設立した法人が所有し、法人がエンドユーザーと建物賃貸借契約を締結し、不動産賃貸業を営みます。

図2.建物所有会社方式の図式

「法人」活用のメリット

1.管理会社方式の場合
・管理会社に業務委託することにより手数料
 を支払うので、オーナーの賃料収入から
 払い手数料分の経費を差し引くことができ
 ます。
・親族を役員にすれば、賃料収入から給与を
 支払い、収入分散でき所得税対策となる。
 また、親族に収入を分散することにより相
 続税納税資金を確保することができる。
・オーナー以外の親族に株式保有させること
 ができる。

2.建物所有会社方式の場合
建物を個人資産から分離できる。
・損金処理できる経費捻出の幅が広がる。
・親族を役員にすれば、賃料収入から給与を
 支払い、収入分散でき所得税対策となる。
 また、親族に収入を分散することにより相
 続税納税資金を確保することができる。
・オーナー以外の親族に株式保有させること
 ができる。

「法人」活用の留意点

1.管理会社方式の場合
・法人設立費用がかかる。
・管理手数料として認められる金額の範囲は
 最大でも賃料収入の20%程度。但し、定義
 づけされたものではない。
ある程度の売上がある賃貸事業でないと経
 費倒れしてしまう。

2.建物所有会社方式の場合
・法人設立費用がかかる。
「土地の無償変換届出書」を税務署に提出
 しないと権利金や相当地代の支払い義務
 生じる。
土地所有者(オーナー)への地代支払いが
 発生する。
建物を買取る場合は、買取費用、登録免許
 税、不動産取得税、その他税理士報酬など
 も見込んでおく必要がある。
建物を法人に売却すると手元に現金が入る
 ため相続財産は増加する。売却後、短期間
 に相続が開始すると逆効果となるケースが
 ある。相続までにある程度の時間的余裕が
 ある場合には有効な手法となる。
年間売上で2000万円から3000万円以上の
 事業でないと、設立した法人を維持する経
 費が捻出できない場合がある。

まとめ

1.管理会社方式と建物所有会社方式の2つ
  の方式がある。
2.親族への収入分散が可能で所得税対策や
  納税資金対策となる。
3.親族に株式を保有させることができる。
4.損金算入が認められる範囲に制約が付く
  場合があるので税理士等の専門家に確認
  することが必要。
5.建物所有会社方式の場合は「土地の無償
  返還届出書」を土地所有者(オーナー)
  と設立した法人の双方で税務署に提出す
  る必要がある。
6.建物所有会社方式の場合は、相続までに
  ある程度時間的余裕がある場合に効果が
  大きい。

以上

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