不動産をたくさんお持ちの地主さんの中には、将来の相続税対策や資産承継のために土地活用を検討しなければならない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
土地活用で最も多いのは賃貸事業です。しかし、賃貸事業は、単にアパートやマンションを建築すれば成功するものではありません。多額の投資、借入などリスクファクターも多いのです。
私は約30年間にわたり土地活用の企画提案を全国で行ってきました。企画提案する時には、その土地周辺の市場調査・建築プランニングからランニング、メンテナンス、運営形態まで、事業に失敗しないための基本4ポイントについて説明してきました。
この記事では、地主さんが土地活用を検討する際に必須となる、失敗しないための必須4ポイントについて解説しています。
ぜひ、最後まで目を通して見てください!
周辺市場調査
市場調査で確認する内容は次のとおりです。
・どんな物件が流通しているのか
(新築・中古、マンション・戸建て)
・賃料はいくらか
(賃料は専有面積で除した単価をおさえる)
・新規参入して勝ち残れるか
これらを調べるには以下の方法があります。
・SUMOなどの不動産流通ネット
・大手管理会社にヒアリング
(但し、建設会社が紐くことが多い。)
最近はインターネットでもエリア毎に特性が良くまとめられていて見やすいですが、管理会社へのヒアリングの方が現場の状況も把握しているのでわかりやすいと思います。
計画プラン確認
市場の状況を把握した上で、事業を計画する土地には、どんな「間取り」で「賃料」がいくらなのかを査定します。
この査定は調査段階で管理会社が推奨プランをもらって検討してもいいでしょう。
この際に、1つお勧めがあります。それは、計画地の建築法規も確認することです。
それは、法規により中高層建築物とするか低層建築物とするかを選択し企画検討するからです。
マンションとするのか、戸建て・メゾネットにするのかにより次に述べるランニングコストやメンテナンスコストも異なるからです。
ランニングコスト・メンテナンスコスト
・ランニングコスト
一般的に言われる建物維持管理費で下表が管理項目です。エレベータ点検、自動火災報知機、増圧ポンプは法定点検事項ですので、有資格者による点検が義務付けられます。
key word:高層化するとコストがかかる
戸建賃貸住宅にはエレベータもなく、増圧ポンプも不要であることが多いです。また、自動火災報知機も一定面積以上で必要となるので、不要なことが多いです。
マンションでは必要設備が多く、平均的に月額20万円~30万円程度の負担を見込んだ計画が必要です。
建築プランを組む時に容積消化や総戸数などを確認し、場合によってはサイズダウンした方が効率が良い場合があるので、注意が必要です。
・メンテナンスコスト
メンテナンスコストにはランニングに含めてよい軽微修繕と大規模修繕のために積み立てる長期積立金の2つに分けられます。
最近では住宅総合保険の補償範囲が以前と比べて充実してきました。保険を上手に活用することも視野にいれておくことをお勧めいたします。また、長期修繕積立金は金融商品などで運用しながら積み立てる方法もありますが堅実な方法をお勧めします。目安として15年目で設備の減価償却期間が終わりますので経費バランスをみて修繕を実施するようにするケースが多くみられます。
積立の目標金額は建築プランによって異なりますが、私は建築費の0.7%程度で収支計画に見込むか、または建物規模によって15年間で3,000万円積み立てるというように目標数値をきめて収支を組むようにしています。
運営形態
運営形態には、
1.マスターリース保証有り
2.マスターリース保証無し
他にもオーナーの代行をしたり、自主管理というケースもあると思います。立地に自信があれば空室保証などなくても良いという判断になることもあると思いますが、ここでは、1番のマスターリース保証有りについて書いてみます。
<マスターリース保証有り>
貸家を管理会社が借上げる、つまり全部屋を管理会社がオーナーから借りて保証賃料を支払う。
これにより空室リスクがヘッジできます。契約期間や保証料率は会社により異なりますので確認しましょう。
■メリット
・オーナーは管理会社と契約を締結し保証賃料を受け取る。(空室保証)
保証賃料=エンドユーザーからの賃料×保証料率となります。
・賃貸管理上煩雑である入居者とのやり取りがない。

■注意点
・空室リスクはヘッジできるが、マーケットリスクはヘッジできない。
・賃料改定があるのが一般的であるが、固定期間を設けている会社もあるので確認をすること。
・自主管理と比べれば当然に経費がかかる。
まとめ
1.最初は市場調査から始める。
2.計画を組む間取り、賃料を確認する。
3.建築法規を確認し、中高層建物、低層建物のどちらで企画するかを決める。
4.ランニングコストとメンテナンスコストを収支計画では意識すること。
5.運営形態の特徴を理解する。
以上