不動産活用

【不動産投資】手筋③ 土地価格を求めてみよう!

 手順①、手順②で企画プロセスや敷地調査について話をしました。その知識に加え、マーケットや対象不動産の特性を分析する考え方を学び、土地価格の求め方をスタディしてみましょう。実務上も企画段階ではシミュレーションすることを話ましたが、その材料の一つが土地価格です。算定手順を整理してみたいと思います。

土地価格の種別

土地価格には一物四価といわれ、「実勢価格」、「公示価格」、「相続税路線価」、「固定資産税評価額」という四つの価格指標があります。それに、加え「基準地価」という価格を加え、一覧表に整理しました。

公示価格の読み方・調べ方

<公示価格の読み方>

公示価格は地域相場の把握には便利な指標であるが、地価は地域相場だけではなく、土地の形状、高低差、接道状況など個別的な要因により変動します。したがって、公示価格から想定される地価相場は、一つの目安として考える必要がある。

<公示価格の調べ方>

国土交通省HPから調査できます。
下記URLをクリックしてみてください。

標準地・基準地検索システム~国土交通省地価公示・都道府県地価調査~ <検索地域選択(都道府県)> (mlit.go.jp)

 一例として、東京都世田谷区で検索してみました。最上段に出力された資料をコピーしました。
上段と下段の違いは、「詳細を開く」をクリックしたものと、していないものの違いです。

 明確な所在地は地図で確認して現地実査してみるのも良いと思います。公示価格を調べると、
標準地の所在、法規制、最寄り駅からの距離などがわかります。但し、自分が調べたい対象不動産の価格はに対しては、前にも述べたとおり目安として考えておくことです。

路線価図の読み方・調べ方

<路線価の読み方>

 路線価とは国税庁が相続税や贈与税などの課税のため、都市部の道路ごとに国税局長が決定した㎡単価のことで(千円/㎡)で示されます。つまりは、課税するための指標ということになります。
 前述した公示価格を100とした場合、路線価は概ね80ですから、路線価を0.8で割り戻すと概ねの公示価格が算出でき、相場価格を把握することができます。

路線価÷0.8→概算公示価格(概算相場)

 路線価は相続税や贈与税を算出する指標ですので、単価の他に、相続税評価額を算出するために必要な借地権割合や地区区分などの項目が表示されます。以下、路線価の調べ方と路線価図サンプルを示します。

<路線価の調べ方>

 路線価は国税庁のホームページで調べることができます。下記URLをクリックして調べたい土地の所在を入力していくと「路線価図」が表示されます。

↓こちらをクリック↓
財産評価基準書|国税庁 (nta.go.jp)

公示価格と路線価を用いた土地価格算出法

次は前項の路線価サンプルを用いて、
公示価格と路線価を用いた土地価格
算出法を説明します。

価格算出サンプル

対象地Aの時価を求める場合の手順

<STEP 1>
近隣で類似する地価公示地の値を参照する。
(価格算出サンプル図)
 公示価格:578,000円/㎡
 路線価 :460,000円/㎡
 ※1.公示価格の時点修正は前年度と同額とします。
 ※2.時価の公示価格に対する水準を、公示価格100に対して時価110とします。
   (本来は事例から決める。)

<STEP 2>
路線価の公示価格に対する比率を計算する。
 公示価格÷路線価=578,000(円/㎡)÷460,000(円/㎡)=1.2565・・・①
※参考までに、路線価÷公示価格=0.795→約0.8なので、公示価格100%に対して80%となる。

<STEP 3>
対象地Aの路線価を公示価格に換算する。
 対象地Aの路線価×①=410,000(円/㎡)×1.2565=515,165(円/㎡)

<STEP 4>
時点修正率
 2021年度と2022年度の公示価格が同額と条件設定したので→100/100

<STEP 5>
その地域の時価の公示価格に対する水準
 前提条件より→105/100

<STEP 6>対象地Aの時価
(近隣公示価格÷基準値の路線価)×
対象地Aの路線価×
時点補修率×
時価の公示価格に対する水準

{578,000(円/㎡)÷460,000(円/㎡)}×
410,000(円/㎡)×
100/100×
105/100
= 540,923(円/㎡)
541,000(円/㎡)・・・(*)
 (*)の値に面積(㎡)を乗じれば、概算土地価格が算出される。
 但し、前にも述べたとおり、土地形状・地形・道路付けなどの要因が土地価格には影響を及ぼすので、目安として考えておく必要がある。

その他の土地価格の考え方

 不動産の価格を求める鑑定評価手法は3つあり、「原価法」「取引事例法」「収益還元法」からなる。収益還元法は対象不動産が将来生み出すであろう純収益の現在価値の総和を求めることにより、対象不動産の価格を試算する。収益還元法には直接還元法とDCF法という2つの方法がある。

<直接還元法>
 この方法は、一定期間の純収益(NOI)を還元利回り(キャップレート)によって還元する方法です。
純収益(NOI)は、営業収入ー営業支出で計算します。営業外支出、つまり、借入金利息などは営業外とします。以下に概要をまとめました。

◆営業収入=賃料収入・駐車場収入
◆営業支出=管理・修繕費、公租公課など
◆純収益 =営業収入ー営業支出

 還元利回りを求める方法は、
・類似不動産の取引事例との
 比較から求める方法
・土地と建物に関わる還元利回り
 から求める方法
 などがある。
一般的には住宅では5%から7%、
事業用では8%から10%が目安

例)1年間の収益(収入―経費)が1500万円の不動産あり、還元利回りを5%とすると、その不動産の価格は以下の通りとなる。

純収益÷還元利回り
=1,500万円÷5%=30,000万円

<DCF法=Discounted Cash Flow法>

 不動産におけるDCF法とは、所有している不動産から得られる収益や、売却益を考慮して将来に得られる収益を、現在価値に換算して算出する方法です。
 これがDCF法の定義的に説明される文書ですが、よくわからないと思いますので、例を示しながら説明します。

◆設定事例1
 元本1000万円を金利5%で1年間運用する→1年後 1000万円×(1+5%)=1050万円となります。
これは、金利5%の作用で、現在の1000万円≠1年後の1000万円ということを示します。反対から言えば
1年後の1050万円は現在の100万円ということになります。
 つまり、将来のキャッシュフローを金利で割引くと現在価値を知ることができるというわけです。

◆設定事例2
 毎年、純収益として1000万円稼ぐ不動産があります。この不動産の10年後の売却価値は現在の不動産の価値Aと同じという前提条件のもと収益価格を求めてみます。但し、金利は5%として計算します。
※将来価値を現在価値に換算する際に用いる複利現価率を採用して計算します。

 現在の不動産が、20,000万円よりも安ければ、購入検討できるということになる。
 これが、DCF法のイメージです。

まとめ

 1.土地の価格指標は5種類ある。
 2.公示価格や路線価から近隣相場価格の目安がわかる。
 3.収益還元法の2つの手法で価格算出方法を事例研究した。
 4.企画にはパートナー選びも大切です。
                                           以上



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