不動産活用

【不動産投資】手筋① 企画・ニーズ把握とは

 不動産利活用は投資を含め事業です。事業ですので、目的を明確化し、安全性、収益性、流動性のバランスを加味することが重要です。企画とは、「事業目的を達成するための企て」です。法人・個人を問わず、企画は共通したベース固めです。

企画立案のプロセス

  企画のプロセスはPDCAサイクルをもとに考えます。

  • P(計画)
  • D(実行)
  • C(評価)
  • A(改善)

     不動産利活用では、Pに含まれるシミュレーションがとても大切です。
     リスクパラメータを変動させ事業のリスク許容限度を自分なりに検討します。
     その上で、Dに進みます。C・Aは実施後の点検となります。   

<STEP 1> P(計画)
・事業目的は何か?
例:相続対策、老後対策、資産形成、事業承継・・・
・事業スケジュールは?
・許容投資額はいくらか?
・対象物件の売買や建築法規上の制約は?
・現状で把握できる問題点や阻害要因は?
・パートナー選びはどうするか?
・事業シミュレーションと判断基準は?
・その他

<STEP 2> D(実行)
・契約内容の確認
(支払条件、保証人、解約条件、印鑑など)
・資金調達方法の確定
(ローン承認、実行金利確認まで)
・物件引渡しまでの現場状況確認
(建築する場合、定例会で進捗確認する)
・テナント斡旋状況の確認
(空室保証がない場合、空室リスク有)
・その他

<STEP 3> C(評価)
・実行前シミュレーションとの誤差測定
 ①物件の稼働状況
 ②想定した賃料との乖離の有無
 ③滞納など入居テナントの質
 ④退去後の募集賃料と新築時との乖離
 (再募集時に設定賃料見直しが必要か?)
 ⑤物件購入時と現在の売買価格の乖離
 ⑥金利情勢の確認と借換の検討
・建物の状態確認
 ①退去時の確認
 ②リフォームの必要性

建物は築年数だけではなく、立地や向きによっても痛み具合が異なります。例えば、交通量が激しい街道沿いは住宅地と比較すれば排気ガスや振動の影響を受けやすく、南向きのタワーマンションはガラス膨張やコーキング、外壁の痛みにケアが必要です。


 <STEP 4> A(改善)
・上記評価を実施し、条件変更が必要と思われる場合はシミュレーションを行い意思決定する。

 上記のサイクルは実施タームを毎年としていますが、建物の劣化に伴い修繕工事が必要な場合があるので、中長期でのゲートを設定して、事業内容の状況を確認することも大切です。

ニーズ把握

 先に企画プロセスについて記事を書きましたが、その中で最初に行うべき事項が事業目的・ニーズ把握です。「自分がどうありたいのか」、「どうしたいのか」また、逆に「どうなったら困るのか」といった将来像から追いかけるとわかりやすいかもしれません。

<STEP 1>想定ニーズを列挙する
 下表は一例です。例えば個人地主が持つ想定ニーズとして、相続に絡んで財産分割や納税が滞りなく進むだろうかといった悩みを持った方とは、数多く面談してきました。商店主をはじめ自営業者は事業承継問題に頭を悩ましていることが近年では結構多いと感じます。経験と共に、ネットやニュースで最近の時事問題にアンテナを張り、ニーズ想定できるようにしておきたいものです。

 上記のように法人・個人に関わらず、各々が持つ事業目的・ニーズをヒアリングして把握することが企画をする上では重要な位置づけとなります。

<STEP 2>プロジェクトチームの組成
 不動産利活用では、事業目的を達成するにあたり専門的な知識を要することが多い。例えば、相続税対策であれば税法や遺産分割協議書の作成など税理士の力が必要となる。また、建築計画を企てる場合は収支計画に加えて、設計・施工の両面から対象不動産への取組方法を検討する必要がある。

 下の図のように、相談者があり、その下に事業(プロジェクト)をまとめるリーダーがあり、傘下にエキスパートを従えて指示を出す。プロジェクトリーダーはエキスパートである必要はないが、事業を俯瞰視し、公正な判断ができる人材である必要がある。管理者ではなく、リーダーであることが必要。

まとめ

 1.不動産利活用は事業である。
 2.事業実施に際しては、個人・法人に関わらず企画立案がベースとなる。
 3.事業目的・ニーズを明確化し、プロジェクトチームを組成し、総力戦で目的達成を目指す。

以上

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